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よあけの部屋

□ 魔物娘たちの御主人様! □

第32話 強襲

「よしよし……」

タロウはにんまりと微笑みながら小さく頷く。

タロウ達は「傀儡の魔王」とアンデッドドラゴンから100m以上離れた程よい距離にある岩陰に隠れる事に成功した。

慎重に近づいたおかげというよりも、アンデッドドラゴン狩りに興奮して夢中になっている「傀儡の魔王」達には、タロウ達の事に気がつくことなど、むしろ不可能に近いと言ってもよい状況だった。

「三大ギルドとはいえ超絶レア種のアンデッドドラゴン狩りなんだ。興奮していないわけがないよな……」

この距離からでも、アンデッドドラゴンを取り囲む「傀儡の魔王」達の異様な熱気はタロウの肌に突き刺すように伝わってくる。

「というか、そもそもドラゴンの情報は封鎖中だし、知っていたとしても危険種に率先して近づく魔物殺し達など三大ギルド以外に存在しないだろうからな。「傀儡の魔王」達もまさか俺達のような少人数が近づいているなど夢にも思うまいさ」

辺りは「傀儡の魔王」の部下達の号令や怒号、忙しそうに駆けまわる伝令役の声が響き渡っている。

タロウは岩陰から少しだけ顔を覗かせてアンデッドドラゴン狩りの様子を伺う。

間近で見るアンデッドドラゴンの巨体は、まるで小さな丘というぐらいの巨大さであった。

四足歩行型なのか野太くもしなやかそうな前足と後足があるのだが、残念ながらその4本全てと胴体から伸びている野太い首や尻尾さえも、地面から生えた巨大な岩の手に握り掴まれており、頭を含む全身が地面に密着するほどに押さえつけられていた。

更に胴体から生えた巨大な両翼は、地面に縫い付けるかのように何十もの大剣によって突き刺されている。

その姿にドラゴンの威厳は微塵も無く、もはや完全な捕縛状態であった。

アンデッドドラゴンの腹部の前では身の丈3mはあろうかという巨大な岩のゴーレムが2体、それぞれ先の尖った大きな鉄槌を持ち、交互にアンデッドドラゴンの腹部に打ち込んでいる。

その下では重装備のミノタウロスやオーク達が、大斧や大剣などでゴーレムと同じ箇所を攻撃している。

それらの後方にはもう1体のゴーレムがおり、プス子の報告にあった金の刃先の巨大な槍を手に仁王立ちしていた。

ゴーレムやミノタウロス達が鉄槌や大斧などを打ち込む度に、大小様々な甲高い金属音が辺りに響き渡る。

「あれは何をやっているんだメデ美」

「あれは竜鱗破りでしょうな」

岩陰に隠れたままのメデ美が静かに応える。

「あれだけの連続攻撃でもビクともしないのな。さすがはドラゴンの鱗か」

「いえ、タロウ様。ドラゴンの鱗も確かにそれ自体は頑丈で分厚くはありますが、あれほどの攻撃を延々と受け続ける防御力はございませぬ。ドラゴン族が多種族よりも圧倒的に鉄壁であるのは、生まれし時より授かるといわれる大地の加護により、その身に纏う「魔法障壁」のせいなのでございまする」

「魔法障壁……。なるほど。それで、ゴーレム達が攻撃する度に、その箇所から光の波紋が煌めくわけか」

「その通りでございまする。現在は鱗そのものではなく、鱗が纏いし魔法障壁が奴らの攻撃を防いでおりまする」

「その魔法障壁も破れるわけなんだな?」

「はい。ドラゴンの竜鱗と呼ばれる魔法障壁は一切の直接攻撃を防ぎまするが、唯一の弱点として一点集中攻撃かつ一定の打撃を受けた際にはそこに綻びが生まれ、一定時間だけ魔法障壁に穴が空いてしまいまする。その箇所はもはや自身の鱗そのものの防御力で抗うしかなく、そこに強烈な一撃を受ければドラゴンとて、その身を破られ血を撒き散らして死に至りまする」

「つまり、あいつらは魔法障壁に穴を空けて、アンデッドドラゴンの本当の鱗を晒した後、通常攻撃では殺せないアンデッドドラゴンに聖の属性を持つ金の槍を突き刺すことにより、不死と呼ばれる竜に死をお見舞いするわけか」

「さすがはタロウ様。全くその通りでございまする」

タロウはアンデッドドラゴン狩りに勤しむ「傀儡の魔王」達の動きを覗くのを止めると、岩陰にその身を隠してそのまま岩にもたれかかる。

「まー、大体、状況は分かったけどさ。……そもそもとして。先程から聞こえているこれは一体どういうことなんだ?」

タロウは眉を寄せ、人差し指と親指で眉間を摘みながら、どうにも理解し難い「それ」に頭を傾げる。

それとは先程から間断なく聞こえてくるアンデッドドラゴンの「悲鳴」である。

タロウの知っているファンタジーRPGなどのドラゴンとは、誇り高く、勇壮であり、知恵も知識も兼ね備えた魔物の中でも上位に連なる強者のはずである。

しかし、現在、タロウ達の目の前で今まさに狩り殺されようとしている黒くて禍々しい巨体なアンデッドドラゴンは、声も枯れんばかりに「泣き叫んで」いたのだった。

「傀儡の魔王」達にとっては、アンデッドドラゴンの発する腹の底に響くような低い鳴き声など「ギャオーーーーン!!!」というドラゴンらしい声にしか聞こえていないのだが、魔物の言葉が理解できる「魔物言語」というチート能力を所持しているタロウにとっては、アンデッドドラゴンの鳴き声は怒号でも罵声でもなく「悲鳴」なのであった。

「――お母さーーーーーん!!!!!!! 助けてぇぇぇぇーーーー!!!!!!! お母さーーーーーーーん!!!!!!! 怖いよぉぉぉーーーーー!!!!!!! 怖いよぉぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!!!! やだやだやらやらぁぁぁぁーーーー!!!!!!! うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーん!!!!!!!」

大気を響かせる程の絶叫かつ悲鳴にタロウは更に眉を寄せる。

「……これはどういうことなんだメデ美」

タロウの呟きにメデ美は小さく頷く。

「どうやらあのアンデッドドラゴン。生まれたての幼子の様ですな」

「幼子? しかし、あのドラゴンは凄く大きいじゃないか。成竜なんじゃないのか?」

「いえ、不死竜は特殊でございまして、生まれた瞬間から成竜と同じ大きさなのでございます。それは偏に生まれながらに死んでいるという性質ゆえに、身体の成長というものが存在しないからでございます」 

メデ美の解説にタロウは唖然としつつも頷く。

「……なるほど。不死ゆえに俺達のような体の成長は無いというわけか。だから最初から身体に関しては完成しているわけなんだな」

「はい。それゆえにあの成竜並の体躯であろうとも、現在の精神や言動はまだまだ幼子という事でございましょう。よって今後、成長していくのは体ではなく心というわけになりまする。ただ、残念ながら更に問題がもう一点ございまする」

「なんだ?」

タロウはメデ美を見つめながら応えを促す。

「ドラゴン族は母親が育児をすると聞いております。ドラゴン族の鋭敏な感覚器官を持ってすれば、子を見失うという事は考え難く、迷子ということはまずあり得ませぬ。ただ現状、親が助けに来ない所を見るに……」

「……まさか「育児放棄」とか?」

「ええ、それが妥当かと思われます。もしくは既に死んでいるのやもしれませぬが」

タロウはまた岩陰から覗きこんで様子を伺う。

今の情報を得てから見てみたアンデッドドラゴンはなんだか小さく儚く見えてしまう不思議に、タロウはため息を漏らす。

「(いや……これは気のせいじゃないな。だって、あのアンデッドドラゴンは涙を流して泣いているんだもんな……)」

ドラゴン狩りに目を血走らせて興奮している「傀儡の魔王」達が「その事」に気がつく事は無い。

アンデッドドラゴンが幼子であり、恐怖と絶望にその大きな目を潤ませて大粒の涙を流し落としていることなど。

「――助けてぇぇぇ!!! 怖いよー!!! 怖いよー!!! お母さん!!! お母さん!!!」

禍々しい姿のアンデッドドラゴンからは想像も出来ない心の底からの悲鳴が辺りに響き渡り、タロウの鼓膜を打ち鳴らす。
 
タロウは1人頭を抱えた。

「(あんなに禍々しい見た目でも幼子か……。だから餌に夢中になって捕まるというお粗末さだったんだな)」

タロウは腕を組みながらため息を吐き捨てる。

「見た目はいかついが、これだけの悲鳴を聞いて見過ごしたとあっては俺の少なめな良心に傷がつく。今後もジクジクと心が痛むのは御免被りたいので、やれることは徹底的にやっておくべきだな……。というわけで助けるぞ! あのアンデッドドラゴンを!!」

タロウは鋭い目つきでプス子とメデ美を見る。

「あい!!」

「仰せのままに!!」

プス子とメデ美は迷うこと無く、タロウの決意に賛同の意を示す。

タロウはにやりと悪者らしい笑みを浮かべると「クククク」と笑う。

「あいつら「傀儡の魔王」共は、「鉄獄の檻」のギルド長であるリベエラさんには詫びの書状を送ったらしいが、俺とレーデさんには何も詫びていないからな。つまりは「復讐」しても何の問題も無いわけだ。ある意味で丁度良い機会ってことだな。レーデさんを襲ったお礼がてらに徹底的に邪魔してやるぜ!!」

「では、この蛇めが先陣を仕りまする!!」

メデ美は不敵に笑いながら、タロウから賜った木の棒(実際には魔法の杖)を眼前に掲げて強烈な覇気を体から発する。

だが、タロウはあっさりと頭を振った。

「行かなくて宜しい!」

「――へ?」

意気込みの腰を折られたメデ美はぽかんと口を開けて呆けてしまう。

タロウは「にまにま」と嫌らしい笑みを浮かべながら応えた。

「確か魔物というのは「悪知恵」というものを、考えるのが苦手というよりも「考えられない」に近いと言っていたな」

「はい。戦いとなると個人技をもってのぶつかり合いしか想像できませぬ」

「前にも言ったけど、魔物は個人能力が人間よりも桁外れに高いからこそ、そういう戦略的な発想が微塵も発達しなかったんだろうな」

「自身が弱ければ負けるだけですので」

「プス子もそう思います」

メデ美とプス子の応えにタロウは苦笑いを返す。

「どちらの牙が強いかは咬み合ってみないと分からないし、結果として自分の牙が弱ければ、甘んじて敗北を受け入れる。そんな所か?」

「はい、全くその通りです」

「あい」

メデ美とプス子はタロウの言葉を、さも当然という風な顔をしながら頷いて肯定する。

「(良く言えば真面目。悪く言えば馬鹿。そりゃ弱いながらも悪知恵の働く人間達に、魔物達は駆逐されるわけだよな)」

タロウは髪をポリポリと指先で掻く。

「……でもな。人間ってのは違うんだ。人間ってやつは相手より弱くても「勝ちたい」と強く願う生き物なんだよ。その為には「知恵」を絞って絞って「何でも」するんだ」

「弱くても勝つ? 相手より弱いのに勝てるのですか?」

メデ美は首を傾げながらタロウに聞き返す。

「メデ美も格下の人間達に負けたんだろ? 確か煙幕、痺れ矢、金属の網や檻などだっけ」

「た、確かに……」

メデ美は悔しそうに眉を寄せる。

「きっと魔物にとっては、人間の奇妙な攻撃なんてのは先が読めなくて恐ろしいだろうな」

「はい。煙幕や痺れ矢などを複合的に使われた時の恐怖は、今も忘れられませぬ」

「あい。プス子も人間達に捕まった時は変な攻撃ばかりされて、とても怖かったです」

メデ美もプス子も力強く頷く。

「だろうな。だが、人間の最も恐ろしい所は相手が弱くて格下であろうとも「知恵」を絞りまくるという所だ」

タロウの言葉にメデ美は目を見開く。

「人間は相手よりも自分が「強い」場合でも、あのような攻撃を行うのですか?」

「そういうこと。人間は「完全勝利」が大好きだからな。もちろん各個人の性格にもよるんだが、強かな人間は例え相手より強くても、微塵の油断もせずに徹底的に知恵を絞って戦いに向かう」

「……なんということでしょう」

メデ美は人間の持つ底の知れない勝利への執念に、軽い目眩を覚えたようだった。

「だが、心配するな。人間達の悪知恵には俺が対応するし補助してみせる。というわけで早速、実践といこうか。人間らしい戦術というものを教えてやる!」

タロウは「ククク!」と悪役的な笑い声を小さく出すと、メデ美とプス子に指示を出す。

「まずプス子はこのまま待機だ。弓矢を射ってしまえば明確な「敵」が存在する事を相手に知らしめる行為になってしまうからな。なので弓矢は現時点で禁止。俺が指示するまでは撃たないこと」

「あい!」

プス子は力強く頷く。

「なので、メデ美には活躍してもらうぞ。メデ美にはこの岩陰に隠れたまま魔法を撃ちまくってもらう。この距離でも「傀儡の魔王」の奴らに届くよな?」

「はい、十分に射程範囲内でございまする」

「宜しい。ただし、魔法の種類は軌道の出ないものに限る」

「軌道……でございまするか?」

「そう。つまり、魔法の発射場所がこの岩陰であると相手に悟られない為だ」

「な、なるほど」

メデ美は驚きの目でタロウを見つめている。

「できれば炎系の魔法が良いな。恐怖感も強烈だろうから混乱させるにはバッチシだろ。なんか地面の色々な箇所から火柱が「ドーン」みたいなのできるか?」

「はい、それは可能でございまする。魔法というものは行使者の発想を言葉に乗せて具現化するものでございますので、お望みとあらばどのような炎でもご覧に入れてみせまする」
 
「それは凄いな。ちなみにそれって人間でもそうなの?」

「人間にも魔法使いはおりまするが、どうも言葉は固定化されておるようです。我等の様に魔法が得意な種族の如く自由自在に言葉を変えて、魔法を変化させる者は見たことがありませぬ」

「それは良い情報だな。さすがはピンクメデューサ。これからも頼りにしているぞ」

タロウが微笑みながら褒めると、メデ美は嬉しそうにはにかむ。

タロウは岩陰からそろりと「傀儡の魔王」達を覗き見る。

アンデッドドラゴン狩りに夢中になっている連中の中で、1人だけ少し離れた箇所で悠々と眺めている金髪の男が見えた。

腕組みをしながら仁王立ちしているその尊大な態度の金髪男に対して、「傀儡の魔王」の人間達が入れ替わり立ち代わり何かを報告しているのを見るに、タロウはその金髪男こそがギルド長であると予想した。

「(たぶんあいつがギルド長だな。確か名前はレーデさんかリベエラさんがギリシュとかなんとか言ってたか。正直な所、本当はあいつの頭にプス子のロケット弓矢をぶち込んでしまうのが一番楽ちんなんだが、さすがに現状では早計過ぎるからな。いくらこの異世界では俺だけの特権として徳ポイントの減点が停止されているとはいえ、俺の大事な心にキズがつくのは間違いない。せめてあいつが本当に糞野郎と判断できるまでは、軽はずみな行動は止めておこう。なので、今日の所は影から邪魔をしまくるべし!!)」

タロウはメデ美に向き直ると詳細な戦術を伝える。

「いいか、メデ美。今回はあくまで脅しだ。人間や魔物を直接には狙わないように。ただし、少々は痛い目にも合ってもらわないとダメだから、可哀想だが人間の数人と魔物の数体には手足のどこかが燃えるように調整してくれ。あとは盛大に地面から火柱をドカンドカンと打ち上げまくれ。できそうか?」

「大丈夫でございまする」

メデ美は力強く頷くと、そのピンク色の美しい髪を野太い蛇に変化させる。 

「始めても宜しいでしょうか?」

メデ美の言葉にタロウも力強く頷く。

「――やれ!!」

「はは!!」

メデ美は岩陰に隠れたまま、木の棒(魔法の杖)を振り上げて小さく叫ぶ。

「――多重処理詠唱(マルチプルロード)!!」

メデ美がそう叫ぶと野太い蛇達が大きく口を開けて、一斉に同じ魔法の言葉を詠唱し始める。

「――豪炎の火柱よ!! 大地より生まれ、高き天を焦がせ!!」

メデ美と髪の蛇達が一言一句同じ魔法の言葉を一斉に叫ぶと、アンデッドドラゴン狩りをしている「傀儡の魔王」達の足元から、幅1m程の凄まじい火柱が何十本と天を突き刺す勢いで巻き上がる。

その瞬間「傀儡の魔王」達の怒号や悲鳴が辺りに響き渡った。

突如、噴き出した炎の火柱群に一瞬で混乱状態に陥った「傀儡の魔王」達は、逃げ惑う者、燃えている仲間や魔物奴隷の火を懸命に消す者などで大変な騒ぎとなる。

「いいぞいいぞ! ちなみに1本の火柱はだいたい15秒程度でいいからな。次々に新しいのを巻き上げろ」

「ははっ!!」

メデ美は鋭い目つきで集中しながら髪の野太い蛇達を上手に使って、時間差で火柱を次々に大地から巻き上がらせる。

「傀儡の魔王」の部下達がギルド長らしき金髪男に泣きついているのをタロウは岩陰からじっと見つめていた。

さすがのギルド長らしき金髪男も突然起こった火柱祭りに動揺しているのか、数歩程、ヨロヨロとその場から後ずさる。

「――く、くそうっっ!!! このアンデッドドラゴンはこれほどの大魔法も使えるのか!!??」

金髪男が発したと思われる叫び声を聞いた瞬間、タロウは大笑いしたい衝動に駆られるが何とか我慢する。

「――ギリシュ様!!! こ、このままでは全員が焼き殺されてしまいます!!!!」

部下らしき男の叫び声を聞いてタロウは金髪男が「傀儡の魔王」のギルド長ギリシュであると確信した。

「――仕方がない仕切りなおすぞ!! 退却だ!!! 皆を退却させろ!!!」

ギルド長である金髪男のギリシュの命令に、側に居た部下達が退却命令を伝えるべく、次々と火柱が噴き出す地獄絵図の中を、アンデッドドラゴンの周りにいる仲間達に伝令しようと走っていく。

「――くそったれが!!! 次は覚えていろアンデッドドラゴンめ!!! 魔法詠唱を阻害して必ず仕留めてやるからなっ!!!!」

ギリシュの負け犬の遠吠えを最後に「傀儡の魔王」達は一斉にその場から離れると、連れの魔物奴隷であるゴーレムや重装備のミノタウロスやオークなどを荷馬車に詰め込み、人間達は馬に乗って中央都市へと向かって逃げ出していく。

そんな彼等に向かってタロウは追撃命令をメデ美に下す。

「メデ美。あいつらを追いかけるように火柱を巻き上がらせろ。もちろん当てなくていいからな。あくまで脅しだ」

「はい!」

タロウの指示通り、メデ美は逃げ帰る「傀儡の魔王」達の後を追うように火柱を噴き上がらせる。

離れてしまえば問題ないと考えていた「傀儡の魔王」達は、後を追ってくる火柱に驚愕し、まさに我先にという感じで馬に鞭を入れると、転げるように走って逃げ去って行く。

そんな「傀儡の魔王」達の無様な敗走ぶりをタロウは「だははははっ!! バーカバーカ!!」と笑いながら見送るのだった。
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