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よあけの部屋

□ 伝説になる騎士は元勇者(改) □

第16話 安らぎ

俺は駄女神アノンを自身の姉と偽り、更には自己再生能力のある回復系魔導士(もちろん嘘)というのも付け加える事により、王族であるウェンダリにアノンを売り込んで、ほぼ不可能に近いはずの王立迷宮騎士学園への編入を実現させた。

 そんなアノンには一人部屋が与えられる事になったのだが、アノンのわがままで俺とウェンダリとの部屋での一緒の生活が決まり、消灯時間を過ぎた今現在、俺とアノンは同じベッドの中で隣り合って寝ている。

 アノンは俺の方を向き、俺は真っ暗な天井を見上げている。

 うん、なんだこれ。

 前の異世界ではあまり定番なハーレムイベントが起きなかったことを思い返せば、同室の男子友達であるウェンダリが実は女子だったという実に安直な定番イベントでさえ、やはりそこはさすがの実体験、実に新鮮かつ驚きまくりではあったのだが、残念ながらこの俺の見た目とウェンダリの天然ぶりでは、今後の色恋は期待できそうに無かった。

 と、諦めたのも束の間、今や同じベッドの中に綺麗なお姉さんがいる始末。

 うん、本当になんだこれ。

 前の異世界がおかしいのか、今回の異世界がおかしいのか。

 いや、俺が大好きだったファンタジー作品は、ボーイミーツガールこそが基本だったしハーレムこそが王道だったもんな。
 と、考えれば今回の異世界の方が「普通」なのかもしれない。

 でも、娼婦での女性経験があるとはいえ、こういう純粋な感じのお色気シーンには慣れていないんだよな。

 精神年齢25歳ではあるのだが、なぜかドキドキ、ワクワクするような感じで妙に興奮してしまうのを抑えきれない。

 大人になって分かることだが、人間は本質的にはそうそう成長しないということだ。
 世間に揉まれて振る舞いや言葉遣いや思慮深さなど、手に入れるものは多々あるのだろうが、いざという時に出てくる「素」は、やはり簡単に変わるものではないのだろう。

 俺は鼻の穴を大きく広げて息を吸い込む。

 アノンとは肌が触れ合う程の距離なので女性の甘い香りが半端無い。

 ちなみに、ウェンダリは俺とアノンが同じベッドで寝るのを見ても「仲の良い姉弟なんだね」と微笑んでいたのだが、ごめんウェンダリ。
 実際には全くもって赤の他人です。

 俺は暗い部屋のベッドの中でアノンの方へ寝返りをうつ。

 俺はアノンと向かい合うような姿勢でアノンの美しい顔を見つめる。

 アノンはやんわりと瞼を閉じて、静かに寝息をたてていた。

 こうやって見る限りは、ただの人間なのだが、その中身は訳の分からない「超生命体」と言っても良い。

 しかも、超生命体らしい不可思議な力を用いて、俺を前の異世界に放り込み、異世界転移者らしいチートシステムを俺に与える事により、過酷な冒険を支えてくれていた張本人である。

 なぜ、アノンがこういう事をしたのかと言うと、アノンはあまりにファンタジー作品が好きすぎて、俺が勇者として必死に生きているリアルな姿を見て楽しんでいたらしい。

 そして、自分を「異世界を救う勇者を送り込む女神様」と自称して、悦に浸っていたとのこと。

 まー、悪趣味と言えば確かに悪趣味ではあるが、異世界転移に憧れていた平凡なオタクの俺とすれば、異世界での勇者生活はとても大変だったのは事実ではあるけれども、今となっては感謝こそすれ恨むつもりは少しも無い。

 それに、再転移により行方不明となった俺を探して、時空を必死に飛び越えて会いに来てくれたということだから、やはり根は良い奴なのだろうと思う。

 でも、俺に会いに来たのは俺の活躍を見るよりも、実際に一緒に「体験」した方が楽しいに違い無いという理由なので、これまた、ただの悪趣味の延長線上ではある。
 なにせアノン自身は不死身だからだ。
 つまりは結局、高みの見物である。
 ただ、それでも、俺の役に立ちたいという気持ちもまた本当なのだろうし、それはそれでありがたいなと俺は思う。

 それに、前の異世界ではシリアスが基本過ぎてあまり楽しい事が無かったのだが、アノンが俺のお色気要員になってくれるというのは実に面白おかしくて嬉しい提案だ。

 そう、こうやってアノンの豊満なおっぱいを揉みたおしても苦情ひとつ無いのだから。

 俺は頭の中でアノンの事を整理しながら、向かい合いながら眠るアノンの豊満な乳房を両手でもみもみし続けていた。

 それにしても、くっそ柔らけーなーこのおっぱい!

 なんて柔らかさなんだ!

 アノンは支給された長袖長ズボンの寝間着を「あえて着ない」で、俺の為にお色気要員として黒ビキニのまま眠っている。

 つまり「揉んでも良いよ」という暗黙のふりである。
 俺はそれに抗うことなく盛大に釣られる事を決意し、こうやって「ほぼ生乳」に近い巨乳をもにゅんもにゅんと布団の中で揉みたおしていた。

 俺の頬はデレデレと緩みっぱなしである。

 ええい、感触が良すぎて止め時が見つからない!

 しばらくアノンのおっぱいを揉みたおしていると、アノンが「んっ」と切なそうな声を小さく漏らす。

 その声を聞いて俺は思わずアノンのおっぱいを揉む手を止める。

 なにせ、隣のベッドではウェンダリが寝ているのだ。
 姉弟が眠っている筈のベッドから艶声が漏れるのはさすがに不味い。

 そんな俺の状況が分かったのか、アノンは片目だけをうっすらと開けると俺に囁きかけてくる。

「(……どうしたのムスロ? もう満足しちゃったの?)」

 アノンの甘い吐息が俺の鼻先をくすぐる。
 それほどに俺とアノンは密着していた。

「(……喘ぎ声はまずいだろ。隣にはウェンダリが寝ているんだぞ)」

 俺の抗議にアノンは年上の女性の顔立ちらしい柔和な微笑みを浮かべる。

「(だって、気持ち良いんだもん♪)」

 その微笑みはまさに慈愛に満ちた女神様であったが、その言葉は俺の鼻から鼻血が吹き出すのではと思うほどにエロかった。

 俺は吹き出してはいない鼻血が本当に出てこないように、思わず自分の鼻を片手で押さえ込む。

「(どうしたの? ムスロ)」

「(……な、なんでもない。今日はもう寝る)」

「(もう揉まなくて良いの?)」

 アノンが小さく首を傾げる。

「(ああ、今日はもういい。ありがとうなアノン)」

「(じゃあ、一緒に寝よムスロ)」

「(へ?)」

 俺がきょとんとしているとアノンは迷い無く俺の後頭部に両手をまわすと、そのまま自身の豊満な胸に俺の顔を引き寄せる。

 俺はアノンの柔らかいおっぱいの谷間に顔を埋める形になる。

「(それじゃおやすみムスロ)」

 アノンは俺の頭の上でそう囁くと、まるで最愛のぬいぐるみを抱いた安心感に包まれるかのように、そのまま「すやすや」と寝息をたて始める。

 寝付きの早さ凄いなおい。

 しかし、おっぱいに挟まれて眠るなんて定番イベントは、前の異世界ではこれっぽっちも無かったよな……。

 今回の異世界は女子との触れあいに関してだけは楽しいなー……。

 やっぱり異世界ファンタジーにはお色気がないとロマンじゃないよな……。

 むしろ、これこそが異世界転移の醍醐味(だいごみ)だよな。

 前の異世界では楽しさがなくて、二度目になるこの異世界では自分の姿がこんなのになってしまって、もはやどうしようもないと思っていたんだけれども、いやはや、こんな美人なお姉さんが恋愛課程をすっ飛ばして、いきなりMAXな愛情を与えてくれるとは……。

 まさに、いつ主人公をそれほどに好きになったんだよ系のプレイヤーから不満が噴出すること間違いなしな、実に見事なご都合主義なヒロインなんだろうけれども、それを受ける身とすれば、全くもって何の問題も無い。
 というか、むしろ楽ちんで最高です!

 まー、一応は俺が前の異世界で、勇者だった頃の姿を見て大ファンだったらしいから、俺の知らない所で好感度が上がっていたという事なのだろう。

 いやー、前の異世界で頑張ってて良かったよ。
 まさか、こんな綺麗なお姉さんが、タダでおっぱいを自由に揉ませてくれる日がやってくるとは。
 自称とは言え、俺にとってはまさに女神様だわ。

 しかし、なんだろう……おっぱいって揉んで良し顔を埋めて良しなんだな。

 アノンの温かい体温と鼓動が何とも言えない安らぎを俺に与えてくれる。

 今までは一人が普通だったが、こんな安らぎを覚えてしまうともう一人では寝られなくなりそうだなこれは。

 俺は小さく苦笑いを浮かべるとあくびをする。

 ふぁ……俺も……なんだか眠たくなってきた……。

 俺もアノンの腰に手をまわして抱きつくと、そのままお互いに抱きしめ会いながら深い眠りに落ちていくのだった。
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