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よあけの部屋

□ 伝説になる騎士は元勇者(改) □

第14話 残念系

 俺に白い目で見つめられながらも、露出狂まがいの美人な女性は今も尚、自信満々に胸を反らせていた。

「……あんた何者だ。どうして俺の本名「英一(えいいち)」を知っている」

「知っていて当然であろうの! なにせ、お主を前の異世界に転移させたのは、この「異世界に勇者を送り込む女神様」たるわらわであるからの!!」

「――な!?」

 その言葉だけでオタクである俺には全てが理解できた。

 異世界転移系の物語において裏方である神ポジションの存在が、俺に会いに来たのだ。

 やはり今回の異世界からの「再転移」という現象は異常だったのだろう。
 実際、転移者のサポートシステムも色々とバグっているみたいだし、それを修正しに来てくれたのかもしれない。

「そうか……あなたが俺を前の異世界に転移させてくれたのか。かなり大変な毎日だったけれど、とても充実した日々でしたよ。どうもありがとうございました」

 俺は頭を下げる。
 実に大変な日々だったが感謝こそすれ恨みは無い。
 オタク人間の俺にとって異世界冒険は夢とロマンの宝庫だった。

「だろうの! だろうの!」

 嬉しそうに頷く女神様。

「で、やはり異世界からの再転移は異常だったんですね?」

「ああ、実に予想外だったの!」

「では、俺を元の現代世界に連れ戻しに?」

「いや」

 俺は女神様の即答を聞いて「ホッ」とする。
 もはや退屈な元の現代世界になど戻りたくは無いからだ。
 この新しい異世界で今度こそ面白おかしく生きていきたい。

「では、俺のサポートシステムを修正しに来てくれたんですか?」

「いや、それはもう無理じゃの。パソコンは地球に置いてきたし」

「……は?」

「なに心配は要らん。ちゃんと強制モードで起動しておるようだから、今後も支援能力は作動していくはずじゃ。それに、足らない部分は直接わらわが補うから安心せよ」

「……へ?」

「というわけで、今日からはこの女神様が、直々に勇者英一のお供を務めるから宜しくの!!」

「――いやいやいやいや!! ちょっと待ってくれ!!!」

 俺は女神様を質問攻めにした。

 その結果、分かったのは以下の事だった。


・宇宙空間生まれの生命体|(思念体)らしい|(人間に非(あら)ず)

・偶然に地球の日本に来てオタク文化にハマった|(重度の厨二病)

・「異世界に勇者を送り込む女神様」というのは自称|(他の女神は見たことも無い)

・「異世界勇者斡旋女神組合」も自称|(個人運営)

・片道切符で来たので地球には帰れない|(迷子)

・私も異世界ファンタジーの世界で冒険したい|(飛び入り参加希望)


 俺は女神様からの答えを一通り聞いてから眉間を指先で摘む。

「えーと、ようするに異世界ファンタジーが好き過ぎて、俺を異世界に転移させて俺が異世界で頑張る姿をテレビで受信して見ていたと……」

「うん」

「で、俺が予想外に再転移してしまって行方不明となり、楽しみが無くなってしょんぼりーぬと」

「うん」

「で、悶々としたあげく「そうだ! 私も異世界に行こう!」となったと」

「うん」

「そうすれば、間近で俺の異世界ファンタジー冒険譚(ぼうけんたん)を見られるし、何よりも自分も参加すれば冒険できて楽しめると」

「うんうん」

「だから、片道切符で俺の所まで時空を越えて会いに来たと」

「うむうむ!」

「で、肝心の俺のサポートシステムの修正は出来ないと」

「てへぺろ!」

「――アホかぁぁこのダメダメ駄女神ぃぃ!!!」

「――ひぃぃ!?」

 俺の一喝に駄女神が瞳を潤ませる。

「せめて前の異世界のチート能力と努力を返せやぁぁーー!!!」

「あわわわ! だ、だってだって! 強くてニューゲームって物語がすぐ終わっちゃうよ!? せっかくの新しい異世界での冒険なんだから、新しいスキルツリーで成長した方が長く楽しめるよ!?」

 綺麗なお姉さんが瞳に涙を溜めながら「あわあわ」しているのが、とても可愛そうに見えてしまい、俺の怒りが一気に萎えていく。

「……まったく。でも、それは鑑賞者の立場であるあんただからこそ言える意見なんだけどもな。命をかける立場である俺からすれば力はあるに越したことはない。でもまー……確かに。あんたの言うその理由にも一理はあるなー」

「でしょでしょ!? 一緒にこの異世界で冒険しようよ勇者英一!!」

「何とかスキル欄は機能しているようだから、これからもそれなりに俺TUEEE!!ができそうだけれども、んで、肝心の女神様は何かサポートシステム並に役に立つんですか?」

「ん? 私にはこの「おっぱい」があるぞ!」

 女神様は豊満な胸を持ち上げて「もよんもよん」させる。

「え?」

 思わず聞き返す俺。

「え?」

 それを即座に聞き返す女神。

「……おっぱいで敵を倒すんですか?」

「そんなわけあるまいて。前の異世界では娼婦は別としても、仲間内には女気が無くて可愛そうだったから、このわらわが勇者英一の為の専属色気担当になってやるのだ!」

「そ、それはそれでとても嬉しいご提案ですが、あのー、何か凄い力とかは無いんですか?」

「一応、不死身系だの。年齢はだいたい1万5000歳を超えておるだろうからな。ただし大半は宇宙空間をプラプラしていたから、ゲームや漫画の神様みたいに真理とかは知らんぞよ。オタク知識はたくさん詰め込んだから豊富だけどもな。あと、この肉体は人間を模しておるので、攻撃力は全くもって皆無だぞ!」

「……それってただの役立たずじゃん」

「えー」

 女神様は眉根を寄せて不満そうに唇を尖らせる。

「えー……じゃねーよ。ようするに自分は不死身という安全地帯から、俺が四苦八苦する姿を間近で楽しみつつ、自分も楽しんじゃおうってことだろ?」

「まー、そういう事ではあるが、ちゃんと勇者英一の為に頑張るぞ?」

「何をだよ」

「だから、おっぱい担当を。さっそく揉んでみる?」

 女神様が黒ブラから豪快に溢れ出しているボリューム満点の巨乳を、両手で寄せながら近づいてくる。

「……おいおい、俺をバカにするんじゃねーよっ!」

「ひぃぃ! ご、ごめんなさい……。うー……喜んでもらえると思ったのにー……」

 俺の抗議に叱られた犬のように「シュン」と項垂れる駄女神。
 今にも泣き出しそうな雰囲気だ。

 駄女神は項垂れながらも、おっぱいを両手で「もよんもよん」とさせている。

 俺の眼前にある二つの柔らかい山が、軽快に揺らされる様に俺の目は釘付けになった。

 まー、前回の異世界をプロデュースしてくれたらしいし、今回も一応は心配で見に来てくれたらしいし、このまま怒りに任せて突っぱね続けるのも大人げがないよな。

 幸いこの駄女神さんはなかなかの美人さんだし、形の良いおっぱいが華麗に波打つ様に少しだけ欲情してしまう俺なのであった。

「………………まぁ、揉ませてくれるなら揉むけども」

「――ほわっ!?」

 俺の消え入りそうな言葉をちゃんと聞き取ってくれたらしく、巨乳な駄女神は俯いていた顔を上げて目を見開きながら俺を見る。

「――う、うん!! いいよいいよっ!! わらわは勇者英一のお色気担当だからの!! さささ!! どうぞどうぞ♪」

 駄女神は涙目のまま本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。

 なんか、アホな駄女神だけれども心根は優しそうだなと俺は思う。

 俺はそんな駄女神の豊満なおっぱいに両手を伸ばすのだった。


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しばらくお待ち下さい
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 ……ふう!

 俺は女神の巨乳を心ゆくまで堪能した。

 魅惑の柔らかさを体験した結果、俺の頬は今やバカみたいに緩みきっている。

 あの有名RPGでもぱふ●ふ屋というエロい場面が、代々登場していたがスラ●ムで騙すというのも多かった。

 しかし、今度の俺の異世界冒険では、実物のおっぱいをいつでもどこでも揉み放題らしい。

 よくよく考えてみれば、この異世界では非イケメン体となってしまった以上、夢のハーレム道への険しさに悩んでいた所なんだよな。
 それがまさか、こんなに無条件かつ全幅の信頼と好意を寄せてくれる異世界ファンタジー定番なヒロイン系登場人物が現れるとはラッキーな事じゃないか。

 ただし、どうしようもない駄女神なんだが。

「……まー、うん。別に俺の冒険についてきてもいいよ?」

 気恥ずかしさからか思わず上から目線で応えてしまう俺。

 今や非イケメンな俺のくせに、何を偉そうに言っているんだと自分でも思う。

 だが、駄女神は俺の言葉を受けてみるみる表情が明るくなる。

「――ほ、本当か勇者英一!!!」

「ああ、本当だ」

「――やたー!! やたー!!」

 駄女神は本当に嬉しかったらしく、笑顔で万歳をしながらピョンピョンと跳びはねる。

 俺は、大喜びな駄女神を眺めながら1人頷く。

 ……2度目の異世界転移だしな、楽しければハチャメチャでも結構。

「……もう役に立つとかどうでもいいよ。これからも「おっぱい」を宜しく頼む!」

 俺はぺこりと頭を下げると、女神様は更に満面の笑顔で大喜びをしてくれる。

「わーい!! わーい!! あの勇者英一の仲間になれたぞよー!! 一緒に冒険できるぞよーー!!」

 見た目こそ艶やかで色っぽい女神様が子供みたいに喜ぶ。
 というか、実際の中身は子供なのかもしれないが。

「ところで、なんであんたは俺のこの姿を見ても「英一」だと分かるんだ?」

「ん? あー、確かに見た目が少し変わっとるの。でも、わらわには英一の輝く「魂」が見えておるからな。わらわにとって肉体の変化などは、着ている服が少し変わった程度の話だ」

「……なるほど。だが、勇者英一と呼ぶのはややこしいから止めてもらえないかな。この異世界では「ムスロ」という名前らしいんだ」

「ほう、そうか。ならこれからムスロと呼ぶことにしよう」

「あんたは女神以外に名前はあるのか?」

「アノンという名前を自分でつけた」

「アノンか。皆の前で女神様と呼ぶのは色々とまずいだろうから、呼び捨てでもいいか?」

 という理由もあるが、こんな駄女神を尊称で呼びたく無いのも理由の一つだった。

「そんなことはかまわんぞよ! むしろわらわの方が、勇者であるお主を呼び捨てにするのが申し訳ないほどじゃ!」

「それこそ気にしないでくれ。それじゃあ、これから宜しくなアノン」

「宜しくだのムスロ!!」

 自称女神アノンは、また俺の首に抱きつくと、俺の頬に頬ずりをしてくれる。

 ふむ、綺麗なお姉さんの過剰なスキンシップ堪らん。
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