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よあけの部屋

□ アイテムが本当にもらえるダンジョンゲーム □

14 宝物庫で選んだ物は

神田と江田島達が食中毒で入院したという話題で持ち切りだった学校での一日を終えて自宅に帰ってくると、誠人はのんびりとアイテムダンジョンクエストをプレイしていた。

スライムやレッドゴブリンなどを黙々と狩りながら現時点ではまだまだ使い道の無いグラン金貨を貯めつつ、スキルスロットの多い武器や防具を探したり、薬草軟膏を更に貯めこんだりしていく。

誠人はポテチをパリポリと食べながらコントローラーをポチポチと操作し続けた。

「単純作業だけれども楽しいんだよね」

基本は草原小島とダンジョン部屋との行き来しか無いのだが、それでもアイクエの「奥深さ」に期待をせずにはいられないのだ。

「いつ、どんな事が起こるかはまだまだ分からないからね」

当初はスライムしかいないのかと思えば、ヘッドセットを装着することによりランダム機能が開始されて色々な魔物が出始めたし、手に入るアイテムの種類も大きく変わり始めた。

説明書の無いアイクエには、まだまだ隠されたシステムなどがあるはずだと誠人は勝手に期待をしてしまっているがゆえに、現在の単純作業でさえ楽しくて仕方が無いのであった。

実際、そんな風に勝手に期待しまくっている誠人の思いを裏切らないのが、アイテムダンジョンクエストの凄さでもある。

なにせ、ふと繰り返し作業の流れで草原小島の階段からダンジョン部屋に移動してみると、魔物が1匹も居なかったのだ。

「あれ? 部屋に魔物が居ない……のに、なぜか宝箱が3つある」

ダンジョン部屋には魔物の姿は無く、なぜか報酬であるはずの赤色の宝箱が3つ横並びで置かれていた。

「もしかして宝箱部屋? ラッキーって事なのかな?」

誠人キャラが宝箱まで近づくと、画面上にシステムメッセージが浮かび上がった。


『ここは宝物庫です。
 どれか一つの宝箱のアイテムのみ手に入れられます』


「お! やっぱりだ! でも、一個だけなんだね」

誠人はワクワクしながら宝箱の中身を左側から確認していってみた。


・グラン金貨10万枚

・炎剣ホムラタン(S3)

・おっぱいの書


「……うわー、実にいやらしいバランス配分だな」

誠人が思わず苦笑いを浮かべてしまうのも仕方がなかった。
なにせ、どれもこれも興味をそそられるアイテムだったからだ。

「金貨はまだまだ使い道が無いとはいえ今後の事を考えれば10万枚ってのは凄い。でも、今の俺の装備は木の棒や棍棒ってことを考えると炎剣とか超格好いい。しかも、この炎剣を現実世界に持ってこられたらと思うとワクテカが止まらない! あー、でも、おっぱいの書とかいう訳の分からない響きも捨てがたい!!」

誠人は床の上に寝転がりゴロゴロと煩悶する。

「ここはじっくりと考えた方が良さそうだね」

誠人は「うーん」と唸りながら天井を見つめた。

「グラン金貨10万枚って凄いけれども、魔物から稼げる以上は「楽が出来る」という程度でしか無いんだよね」

誠人は少しずつ頭の中を整理していく。

「つまり、お金は根気よく頑張ればコツコツと溜めることができるということ。それよりも、アイテムダンジョンクエストでは手に入れにくいレアなアイテムを手に入れることこそが最も大事な事だと思う」

誠人は自分で自分の言葉に納得しているのか、「ふむふむ」と頷いていた。

「そうそう、貴重なアイテムこそが大事なんだよね。となると、候補は2つに絞られるわけだ。炎剣ホムラタンとおっぱいの書」

誠人は起き上がってあぐらをかくと、顎先を右手の先で擦りながら思案を重ねていく。

「名前持ちの武器は確かに役に立ちそうだけれども、これもまた後々で手に入れられそうだしなー。もし、これが聖剣クラスだったなら迷わず持ち帰りたいところなんだけれども」

誠人は誠人キャラを右端の宝箱の前に移動させて中身を確認させた。

「となると、現状の中で最も不思議っぽいアイテムはこの「おっぱいの書」なんだよね」

だがしかし、と誠人は首を捻る。

「何に使えるのかがさっぱり分からないよね。一応、「書」という名前がつくアイテムは魔法を覚えたり、転職ができたりなんていう効果があると考えられるんだけれども……」

誠人は更に「うーん」と唸り込んでしまった。

「炎の書や氷の書とかなら分かりやすいんだけれど、おっぱいってなんだろ? もしかしてタダのエロい本なのかな? ネットでおっぱいなんていくらでも見られるから、それだと外れも外れだし……」

誠人が悩みまくっているのをヘッドセットが感知してくれたのか、それともただ単に決定時間が遅いのをカウントしていただけなのか、システムメッセージが画面に浮かび上がった。


『各アイテムの簡易説明を表示する事が可能です』


「――おお! そんなことが出来るのなら是非ともお願い致しますっ!!」

誠人は迷わずコントローラーの決定ボタンを押し込んだ。


・グラン金貨10万枚
(グラン金貨が10万枚)

・炎剣ホムラタン(S3)
(炎をまとった剣。火炎放射なども可能。スキルスロット3)

・おっぱいの書
(おっぱいスキル(対女性)を使える「おっぱいの魔術師」になれます)


「おっぱいの書、分かるようで分からないから。というか、そもそもなんだよ「おっぱいの魔術師」て」

ただし、この簡易説明で1つだけハッキリしたことは、おっぱいの書がタダのエロ本ではなく、スキル習得系のアイテムであるという事である。

「炎の武器ってのは確かに格好良いし役にも立ちそうだけれども、炎系ってゲームでもかなり一般的だから後々でも手に入る可能性はかなり高いと思うんだよね。となると、やはりおっぱいの書って異質だと思う。どう考えても普通じゃないっぽいもんね」

誠人は徐々に考えがまとまりつつあった。

「こんなにもヘンテコリンなスキルは回収できる時に回収しておくべきだとは思う。それに、意味はいまいち分からないけれども、おっぱいに強くなれるっていうのは、何だか男として素敵な事だと思うような気がするし」

エロい事に興味津々なお年頃でもある誠人には、意味は分からずともこの「おっぱい」という魅惑的かつエロスな名前が付いたエロ系スキルの本質を何となく嗅ぎとっていたのだった。

実際、この時の判断が、今後誠人がアイテムダンジョンクエストをプレイしていく中で最も偉大かつ見事な英断の一つであり、どんな聖剣や大魔法を得るよりも、誠人の男子としての人生をより豊かにしてくれることが後々に証明されていくのだが、今の誠人には知る由もない事である。

「よ、よーし! 俺は今日から「おっぱいの魔術師」になるぞ!」

誠人は「えいや!」と決定ボタンを押して宝箱から「おっぱいの書」を入手すると、即座に目の前の宝箱達が姿を消してしまった。

「うわぁ、もしかして、とんでもない選択をしてしまったのかも……」

目の前の宝箱が消えたことで自身の決断の結果が再認識されることにより、誠人は急に不安にかられてしまう。

「やっぱり炎剣ホムラタンが良かったのかな……。良い武器があれば敵を倒しやすくなるし、そうなればアイテムを手に入れやすくもなるわけだし……ああぁ……これが後の祭りということか」

誠人はクヨクヨしていても仕方がないと、早速アイテム欄を開いて「おっぱいの書」を使用してみると、画面内の誠人キャラが光り輝き出した瞬間、画面の前で座っている現実の誠人の体も光り始めた。

「――え!?」

しかし、驚くのも束の間、次の瞬間には「おっぱいの書」に書かれていたであろう文章や解説のイラストなどが、頭に装着しているヘッドセットからなのか誠人の頭の中へと雪崩れ込んでくる。

「おおぉ……凄い」

一瞬の内に「おっぱいの書」の中身を全て理解してしまっている不思議に、誠人は呆然としてしまう。

「な、なるほど……こういうスキル内容か。どうやら現実の俺にも効果が発生しているみたいだ」

誠人は自身の手をわきわきと握ったり開いたりしながら確認する。

「特に変な感じは無いね」

誠人は知識としても手に入れたスキルを確認してみる。


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・射乳
女性のおっぱいから強制的にミルクを噴射させる。
この時の快感は、男性が絶頂時に得る快感の数倍~数十倍以上(調整可能)ともなる。


・おっぱい鑑定
女性のバストサイズが分かる。
だけではなく、更にはその女性の気持ちなどが何となく分かる。
(触るなどすればそれなりに精度が上がるかも)

などなど。

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「射乳というのがメインスキルっぽいね。なるほど、女性にも擬似的かつ強制的に男性の絶頂時ぽい快感を与えちゃうわけか。そして、補助的なスキルなどがいくつかあると……」

誠人は頭の中で「おっぱいの書」のスキルを再確認していると、ある部分で思わず眉をひそめた。

「……え? なにこれ」

誠人が思わず気になった部分をより再確認すると、次第に誠人の顔から血の気が引き始めた。

それも、そのはずである。

その内容があまりにもあれだったからだ。


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・ステータスに「ミルク」値を追加。
ミルク値は自然に減少します。
回復するには女性の「搾りたてのミルク」が必要。
(女性の乳房から直飲みして下さい)
(親族の女性はダメ)

ミルク値が減少した際には、ステータスにマイナス補正がかかります。
(逆に満たされている場合にはプラス補正がかかります)

更に、ミルク値が減少すると生理現象として「渇き」が発生します。

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細かい解説を省いて、単純に解説するならばこういう形であった。

誠人は呆然としながらもコントローラーをポチポチと操作して、確認の為にゲーム画面にステータスを表示させてみる。


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【誠人】

【体力】 ■■■■■(赤色のバーが1本)
【魔力】 ■■■■■(黒色のバーが1本)
【ミルク】■■■■■(白色のバーが1本)
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今までは体力と魔力しか表示されていなかったのに、その下には説明通り「ミルク」値が追加されていた。

「……どうやら本当みたいだ」

誠人は思わず額を押さえて俯いていしまう。

「ミルクが無いと生きていけない体にされてしまうなんて……大変な事になってしまったぞ」

エロいスキルを手に入れて浮かれていたのも束の間、思いもしない落とし穴に誠人は暗い気持ちになった。

しかし、この背に腹は変えられない断崖絶壁かつ背水の陣な状態に追い込まれたおかげで、これから誠人は積極的に女性と関わっていくしかなくなるわけであり、それが結果として誠人の豊かな人生へと繋がっていくことになるなど、やはり今の誠人には知る由もないのであった。
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